夏の朝

大人

東の空が まだ眠たそうに瞼を開くと

薄紅の光が カーテンの隙間から

子供の頃の思い出みたいに

静かに忍び込んでくる

川面は 鏡を割った様に煌めき

揺れる波は 遠い友の笑い声の残響の様

蝉の声が まだとぎれとぎれに鳴きはじめる頃

冷えた空気は 母の手のひらの温もりみたいに

一瞬で過ぎていく

やがて太陽が顔をだすと

夜の影は 掻き消された夢の様に溶けてゆき

胸の奥に 言葉にならない空白だけを残す

それでも朝はくる 毎年

同じ光を運びながら

私たちの 二度と戻らない夏を

優しく照らしだして

コメント

タイトルとURLをコピーしました